++ビビEnd++










ジタンさんがクジャさんの元に行ってからあっという間に2年がたちました。
(何クポこの略は!?byクポ/しょうがねぇだろ書き出しって一番書きづらいんだから!
 本番(?)始まってるんだから喋るな!by空)
ジタン:(ビビ、元気にしてるかな・・・。)
ジタンさんが意気揚々と黒魔道士の村に向かいます。
クジャさんが最後の力を振り絞り、ジタンさんを助け、傷を治したのです。
散々迷惑かけて最後にいいとことってますね。
・・まぁそれはさておき、ジタンさんはビビさんに会うため、真っ先に黒魔道士の村へといっていました。
あの可愛らしい(?)笑顔に会うため。村に着いたら真っ先に自分の元に来てくれるだろう・・。
そうジタンさんは考えていました。
「ジタン、やっぱりボクの元に帰ってきてくれたんだね〜〜!」
喜色満面で自分に抱きつくであろうビビさんの声を想像すると、思わず笑みがこぼれていました。
クジャが自分の側にいたときも、気になっていたのは何故かビビのこと。
同姓のはずなのに、何故こんなに気になるのかジタンさんにもわからなかったのです。
それは“恋”・・・・ではなく、ビビさんを弟のように思っていたせいだとジタンさんは考えていました。
たとえ黒魔道士というものでも、家族になれないはずがない。ジタンさんはそう考え、歩みを進めます。
相変わらず鬱蒼と、そしてひっそりとした森を抜け、黒魔道士の村につきました。
ジタン:・・・・・・・ビビ!!!
ビビさんが来るのが待ちきれず、ジタンさんはそう叫びました。
すぐに「あっ、ジタン!」と返してくれる声を期待して。
そして期待通りに。
ビビ:あっ、ジタン!ボクの元に帰ってきてくれたんだね〜〜〜!!
ちゅどーんとか言う副詞(?)がとっても似合いそうな音で、
ビビさんが抱きついてきました。それを受け止めるジタンさん。
ジタン:ただいま、ビビ!
ビビ:うんっ、お帰り、ジタン!やっぱりボクのことが一番大事なんだね?!
ジタン:そうに決まってるだろ?
ビビ:えっ?
旅の途中とは違ったジタンさんの返答に少しビビさんが当惑します。
そうですよね、旅のときだったら「バッカ言ってんな」とか返しそうですもんね。
ビビ:・・・本当に?本当にボクのこと・・・・。
ジタン:何だよ。信じられないのか?
ビビ:そうじゃないよ・・。でも何でだろ・・・嬉しいのに何で泣きたいんだろ・・。
やめてくれ。
何か甘いメロドラマみたいなんですけど。え?友情物語だって?
そう考えるのは無理ですよくうちゃん。(くうちゃん言うな!!by空)
ジタンさんに抱きついたまま、ビビさんが泣いてます。嬉しかったんでしょうね。
ジタン:泣くなよ・・。オレ、何か悪いことしたみたいじゃん・・・。
ビビ:悪いよ。旅の間ボクのプロポーズ何回振ったと思ってるの?
   そ、それなのに今更・・・・愛してるだなんてッッ!!虫が良すぎるよ!
ジタン:なんでそこでプロポーズが出て来るんだよ!?男と愛なんてキモイよさすがに!
・・やっぱりジタンさんはジタンさんで、ビビさんはビビさんでしたね。
それにしてもプロポーズって。いつの間にしてたんですかくうちゃん?(知らんby空)
ビビ:・・相変わらず冷たいなぁ・・。でも大好きだよ、ジタン!!
ジタン:うわっ!?何だよっ!?って言うか「大好き」とか言うな!寒気するって!
ビビ:あああっ、酷いよジタンっ!
・・読者によっては「兄弟愛みたいなもん?」とか思ってますか?
いやここでは違うんですよ。本気で言ってますから。
だって・・アレですもんね、くうちゃん。(アレ違うから!誤解招くな!!by空)


少しして。ビビさんが落ち着きました。


ビビ:・・ジタン。
ジタン:ん?
ビビ:・・ボクのこと、大事だって言ったよね。
ジタン:そうだよ。ビビはオレの大事な、弟みたいなもんだし。
ビビ:(結局弟かぁ・・・。ちぇー。)もしかして・・誰よりも先に、ボクに会いに来てくれた?
ジタン:あ?・・そうだなぁ。ダガーとか、他の奴には会ってないよ。
ビビ:・・そう。
ジタン:・・???
“弟”といわれたことに、ガッカリしたせいなのか、ビビさんの笑顔は少し寂しげでした。
旅の中ではなかった、ビビさんの寂しげな笑顔にジタンさんは疑問を抱きましたが、
その理由は考えてもわからず、聞くことにもしなかったのです。それに何と言っても、
ビビ:そうだよねぇっ。あんな腹黒女とかナマコとかのところに行ったら、
   一発で毒牙にかかっちゃうもの。僕のところに来て正解だよ、ジタン♪
ジタン:何だよそれ・・。
ビビさんがすぐ元に戻ったからです。だからジタンさんも気にしなかったのです。








そして数日は、楽しい日々を過ごしていたのですが・・・。









この日も平和なはずでした・・。
ビビ:ねぇジタン、いつまでここにいてくれるぅ?ボクとしてはずっといて欲しいなぁ。
ジタン:そうだなぁ・・。
お墓の前で、花をささげながら、ビビさんとジタンさんが話しています。
その様子は、本当に兄弟みたいに温かなのです。可愛らしい(?)弟と、純粋な兄
ジタン:・・・オレは、ずっとここにいるよ。
ビビ:本当!?
ジタンさんのその言葉で、ビビさんがとても嬉しそうにしました。
手を叩いて、飛び跳ねながら喜んでいます。・・こういうときは、本当に純粋なのです・・。
ビビ:絶対だよっ、絶対だからねっ、ジタン!
   ぜ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ったいっ離れないでね!
ジタン:な、何だよ。そんなことしなくたっているよ・・。
    タンタラスに戻る気はないし、アレクサンドリアに行ったって何にもないしさ。
ビビ:そうだよねっ。ここで一緒に暮らせるんだ・・。
うっとりとするビビさん。何を思い浮かべているかは知りませんが、
多分ジタンさんの“幸せ”とビビさんの“幸せ”が違うことは間違いないでしょう。
ジタン:大切なと一緒なら、きっと毎日楽しいと思うぜ?
ビビ:(弟・・)そうだよねっ。ミコトが邪魔だけど・・。
ジタン:え?ミコト?
ビビ:あ、ううんっ。何でもないよっ。(どうやったらミコトを追い出せるか、考えておかなくっちゃ。)
ジタン:それじゃ行こうぜ。まだ仕事残ってるし。
ビビ:あっ、待ってよジタン〜〜!最愛の人を置いてかないで〜〜!
ジタン:何だよそれ・・・。
他愛もない(?)話をしながら、ジタンさんが歩き始め、ビビさんも歩き始めます。
ビビ:ねぇジタン。
ジタン:何だ?
ビビ:・・・・・たぃ。
ジタン:は?
振り返ったジタンさんに、こっそりとビビさんが何か言おうとしましたが、
小さくて聞こえません。ジタンさんがしゃがみます。
ジタン:・・なんだって?
ビビ:うん、あのね・・。
ビビさんがジタンさんの耳に近づきましたが、そこから言葉が放たれることはなく。
ジタン:・・ビビっ!?
とさっ・・という柔らかい音とともに、ビビさんが崩れました。







ビビさんは部屋の中で目を覚ましたのですが、もう体がほとんど動かなくて。
確実に、もうすぐ“止まる”ということを、ひしひしと感じさせるものだったのです。





ジタンさんは最後まで言いました。
「生きろ、ビビ。生きてさっきの話を聞かせてくれよ。」
泣いて訴えていました。その姿はあまりにも切なくて、誰も見ていられなかったといいます。
ビビさんはそれに答えようとしました。ベッドの中で、ジタンさんの手を握っていました。
でもその口はもう、言葉もつむげないほど、動けなくなっていました。



そしてとうとう、言葉は聞けないまま。






ビビさんの時は、動くことを“止めた”のです――――――・・・・。




死に顔は、まるで笑っているようで。








ジタン:・・ビビ?
動けなくなったことが信じられなくて、目の前の光景を必死に受け入れまいとしました。
手の中にある小さなぬくもりは、徐々に、徐々に、消えていきます。
消えていくのをごまかすように、ジタンさんは、ぎゅっとビビさんの手を握りました。
しかし、ビビさんは握り返してきてくれません。金色の瞳は光を失い、
ジタンさんの、こらえきれずにこぼれた涙だけが、照らされて光っていました。
ジタン:ビビ?・・ビビ?ビビっ!!
何度もビビさんの体をゆすりました。何度も何度も。
「痛いよ、ジタン、最愛の人にそんなことするなんて酷いッ!」
そんなふざけた言葉でもいいから、何とか返して欲しかった。
すぐ側にあったはずの笑みは、黒い顔の闇に溶け込んで。陽の光を拒絶していました。
・・・声は返ってきません。ジタンさんは首を左右に振りました。
ジタン:寝るなよ、ビビ・・。まだ・・夜じゃないぜ・・?
ビビさんの手を握っていた自分の手を離して、体をぽんぽんと叩きます。
叩くと、そこがしぼんでしまいました。霧で作られた体が、その形を保ちきれなくなってきているのです。
離した手は、重力に逆らわず、だらりと下に下がりました。
その姿を見て、ジタンさんの体も崩れました。体中の糸がぷつりと切れて。
次の瞬間には、胸を突き刺すような泣き声が、部屋中に響き渡りました。
男なのに情けない、周りにはそう思われたかもしれません。
でも、そこまで泣いてしまうぐらい、ジタンさんは悲しかったのです。
この間まで、うるさいほど言い寄ってきて、自分に擦り寄って。
嫌がっているのに、どうしてもとベッドの隣にもぐりこんできたり。
そんなことは、もう、ないのです。
ジタンさんが来たときにはもう、体を動かすことはほとんどできなかったはず、
そうミコトさんが言っていました。ビビさんは、ずいぶんと無理をしていたのです。
ビビさんの、数日前の寂しげな笑みは、自分の寿命が近いことを知っていたんでしょう。
だから、大切な人にずっとくっついていたかったのでしょう。
その心情を理解できなかったことを、ジタンさんは大いに悔やみました。
何で気がつかなかったのだろう、何でもっと早くこれなかったのだろう。
後から後から、後悔と涙だけが襲ってきます。
びっしょりとビビさんの服は濡れ、胸を突き刺すような泣き声だけが、そこに残っていました。
何日も、何日も。
・・・・ジタンさんは願っていました。
あれだけ自分にべったりだったビビさんは、死に切れずに戻ってくるのではないかと。
どんな体でもいい。だから自分の元に戻ってきて欲しい。
ミコトさんや他のジェノム、そして他の黒魔道士がビビさんの体を土に返そうとしたときも、
ジタンさんは嫌がりました。
自分の側においておけば、四六時中側にいれば、生き返ってくれるかもしれない・・・。
ありえない願いでした。それは所詮、儚い願望なのです。叶うはずがありません。
生き返るとしたら、アンデッドの体でしょう。
モンスターと魂が結びついてしまうかもしれない。仲間達はそれを嫌がったのです。
でもジタンさんは、それでもいい、アンデッドでもいいから・・・そう言ったのです。
気が狂っている、とミコトさんは焦りました。
大きすぎる精神的なショックが、ジタンさんの理性を、すっかりと奪ってしまったのでしょう。
何とか戻そうとしましたが、大切なものを失った、その穴は、埋めきれるものではありません。
泣くことはやめましたが、何も考えなくなってしまいました。
食べることも飲むことも、何もしなくなっていたのです。
げっそりとやせてしまった兄を見て、ミコトさんも泣きました。
ビビさんは、ミコトさんにとって、大事な兄を盗ろうとする、ライバルでした。
負けるものか!と、いつも争っていたのです。
でも、ミコトさんは、ビビさんには敵わないことを知りました。
そこまでジタンさんにとって、ビビさんの存在は大きくなっていたのです。
誰がお見舞いに来ても、ジタンさんはまったく反応せず、
何をされても、されるがままでした。口を開いたかと思えば、出てくるのはビビさんへの言葉。
歩いたかと思えば、ビビさんのお墓の前に立って、そのままでした。
姿がなくなれば、いずれ未練がなくなるのではないか・・そう思ったのは間違いでした。
ジタンさんは、天気がどうなろうと、お墓から離れようとしなかったのです。
雨が降っても、風が吹いても、そこから動こうとはしませんでした。
お墓で、せめて幻だけでも見れたなら。ジタンさんの気はまぎれたかもしれません。
でも、それすらもありませんでした。
あるのは、供えられた花。見慣れたくたくたの帽子。
そして墓に刻まれた―――“ビビ・オルニティア”の文字。
それを頭に入れないようにしながら、ジタンさんは座っていました。







そんなことが何日も、何日も続いて。







何日過ぎたかわかりません。しかし、今は夜だということはわかりました。
春とは言えど、夜は冷えます。しかしそのおかげで、ふたつの月がとても綺麗に見えました。
でもそれはすべてジタンさんの目にははいりませんでした。
ジタン:・・ビビ。
口が動いて、ビビさんの名をつむぎました。


いつも誰よりも先に自分にくっついたビビ。
自分が攻撃されると、そのモンスターを粉々にするまで破壊していたビビ。
しょっちゅうダガーやサラマンダー、エーコさんと口論をしていたビビ。


そのビビが、もういない。


ここには。



ジタン:ビビ・・。
お墓にある帽子が、ふっと目に入って、また涙で視界がにじみます。
嗚咽をあげながら、その帽子をジタンさんはぎゅっと抱きしめます。




帰り来む 御魂と聞かば 凍る夜の 千夜も御墓の 石いだかまし




昔そんな言葉があったと、ジタンさんは思いました。
確か意味は、「あなたが戻ってくるものなら、凍るような寒い夜を、幾夜でもお墓を抱きしめ温めるのに」だったはずです。
その言葉を作った作者の気持ちが、痛いほどジタンさんにもわかりました。
自分も、ビビさんが帰ってくるのなら、幾夜だってお墓を抱きしめ続けるのに。
ジタン:ビビ・・。
自分の口は、もはやビビさん以外の言葉をつむぎ出せないのでは、とジタンさんは思いました。
どれだけ他の仲間が声をかけてくれても、どれだけミコトさんやダガーさんがジタンさんを抱きしめても、
ビビさんが帰ってきてくれない限り、永遠にないだろう。そうジタンさんは思いました。
自分の口は、ビビさんの名をつむぐためにあるのでは、とも思いました。
どのぐらい泣いたかわかりません。泣いても戻ってこない。
その事実に何度も打ちのめされました。しかし、泣かずに、悔やまずにはいられません。
もう何日も何も食べていないし、飲んでいません。体が細くなったことにも気がつきました。
でも、何も食べる気も、飲む気もしません。願掛けをしているわけではないのに。
ジタン:・・・もう・・いやだ・・・。
そう言葉が漏れました。
ジタン:お前がいない世界で生きられるかよ・・。
帽子を抱きしめたまま、ジタンさんが言いました。
ジタン:帰ってきてくれんなら・・なんだってしてやるのに・・。
    何で帰ってきてくれないんだよ・・。
怒る気ももう起きません。あげたこぶしは、力がはいらずに、ほどけました。
ビビもこんなに辛かったんだろうか・・。
一瞬そう思いました。




死にたい・・。




そう思いました。周りに言ったら、絶対に止められるでしょう。
せっかくもらった命を、無駄にするというのですから。
ジタン:どうせオレの命は・・作り物だ・・・。
“創られた存在”。前はそれを認めたくなかったはずなのに、今はそれをすんなりと受け入れられます。
ジタン:ビビだってそうだったのにな・・。オレはどうして認められなかったんだろうな・・。
ビビさんは、早くから自分の命が作り物だと知っていました。
しかし、それを受け入れてなお、前に進んだのです。心の強さは並ではありません。
ジタン:オレは・・・・お前みたいになりたかったのかな・・。
涙がまた一筋、頬を伝いました。そこまでの強さは、自分にはなかった。
ジタンさんは思いました。ビビさんよりずっと年上だったのに、あがいていたのです。
必死にそこから逃れようとしていたのです。
ジタン:・・・行かせてくれよ、お前のところ・・・いいよな?
帽子に顔をうずめて、ジタンさんが言いました。
ジタン:同じところに・・いきてぇな・・オレも・・。
せめて天国でずっと一緒にいたい。
ジタン:生まれ変わったら・・・幸せになれるよな・・。
ジタンさんが腰にあった短剣を抜きました。
ずっと雨などに打たれていたせいか、少しさびていましたが、刺す事ぐらいはできるはずです。
ジタン:怒らないでくれよ・・。でもお前は、独りじゃないから・・オレも一緒だから・・。
ビビさんの帽子をどかして、力の入らない手で、精一杯力をこめて握ります。
ジタン:だから・・・・、





行かせてくれ。





そういって、真っ直ぐに、心臓に向かって、短剣を振り下ろしました。
ビビ:ジタンやめてぇぇぇっっ!!
ジタン:ぎゃあああああああっっ!?
ボコッ、という音を立てて、何かが出てきました。
ビビさんの声がして、驚いたために、ジタンさんは短剣を取りこぼし、
短剣が心臓に刺さらずにすみました。
ビビ:ジタン、ジタンのバカあっ、ずっと話しかけてたのに・・・!
ジタン:・・えっ?ちょっ・・。
ビビさんの体は土だらけでした。それもそのはず、出てきたのが土からだったからです。
目の前の出来事に、ジタンさんは慌てました。
ずっと帰ってきて欲しいと願っていた、ビビさんが今、自分に抱きついているのにもかかわらず。
ビビ:ボクのために死のうとしてくれたのはすっごくすっごく嬉しいけど、
   ボクはやっぱりジタンには生きてて・・・・あれ?
当の本人も(やっと)困惑しました。土だらけの自分の体を見て、驚いています。
ビビ:ボク、何でこんなに土だらけなんだろ・・?
ジタン:そ、それはオレだって・・。何でいきなり出てきたんだ・・?アンデッド・・?
ビビ:んなぁッジタンそれ酷い!さすがにそうじゃないのは自分でもわかるよ!
2人して困惑しています。でも考えても全然わかりません。
落ちていた帽子を拾ってかぶり、(中身までは外が暗くて見えなかった)
ジタンさんにビビさんが近づきます。金色の瞳が見えて、ジタンさんは急に泣きたくなってきました。
ジタン:ビビ・・本当によかった・・・。お前がいなくなって・・生きた心地もしなかったよ・・。
謎はたくさんあるけれど、とりあえずビビさんが戻ってきたことが嬉しくて、
ジタンさんはビビさんを、思いっきり抱きしめました。
ビビ:えっ・・ジタンからなんて珍しいね・・。でも嬉しいよ♪
あまりなかった、いきなりの幸せにビビさんはまたも当惑しますが、とりあえずジタンさんにくっついたままです。
ビビさんのぬくもりが感じられます。
今度はこの、大切な“兄弟”の体を離さないように。ジタンさんはそう思っていました。





しばらくして。





ジタン:・・それにしても、何でいきなり戻ってこれたんだろうな。
ビビ:そうだね・・。ボクも、ジタンにはずっと話しかけてたんだけど、気がつかなかったんだよね。
   でもさっきジタンが「死にたい」って言ったときに、どうしても助けたい、って思ったら、
   いきなり土の中から出てくることになっちゃったんだよ。
ジタンさんとビビさんが言います。お互いがまた会えた喜びはもちろんありますが、
それ以上に疑問もありました。
ジタン:ならもっと早く死のうとすればよかったかな。そしたらビビが早く帰ってくれたかもしれないのにな。
ビビ:ええっ、そんなの嫌だよぅ。ボク、すっごく焦ったんだから〜〜。
ジタン:へへっ、ごめんな。
ジタンさんが、久しぶりに笑顔を見せました。ビビさんも嬉しそうです。
ビビ:ボクもね、ジタンにボクの声が全然届かないのは辛かったよ。
   ジタンの姿、見てられなかったのに、ボクには何にもできなかった。
   それがすごく悔しくてさ・・。
ジタン:オレもだよ。ビビが止まってから、後悔ばっかりきてさ・・。
2人は同時にため息をつきました。
ビビ:ジタンに触れられなかったのは辛かったよ。いつもすり抜けちゃうんだもの。
   でもさっきは触れることができて、逆にびっくりした。
ジタン:そりゃオレのセリフだよ。今まで何度も帰って来い、帰って来いって思ったのに、
    全然帰ってこないしさ。じゃあ死のうって思ったら、
    いきなり土の中から飛び出して来るんだ。本当にアンデッドかと思ったぜ。
ビビ:それは酷いよ〜〜・・。
ビビさんがむくれます。ジタンさんはそれに「ごめん、ごめん」と笑いながら謝りました。
ジタン:でも本当になんで生き返ったんだろうな・・すごく嬉しいけど。
ビビ:・・もしかしたら、“愛の力”かもねっvv
ジタン:ハァ?
ジタンさんが腕を組んで考えると、ビビさんが両手を合わせながら言いました。
その言葉にジタンさんは思わずそういいました。
ジタン:バッカ言ってんな。何が愛だよ・・。
ビビ:あああっまたそう酷いこと言ってぇ。
   ボクらのお互いへの愛が強かったから、ボクが帰ってきたのかもしれないでしょぉ?
   あまりにも愛が強すぎて、神様がボクが生き返るのを許さらざるを得なくなったのかもねっ。
あまりにもメルヘンだ。ジタンさんは思いました。
でも、本当にそうだったのなら、神様に感謝せずにはいられません。
・・・それが“愛の力”かどうかは別として。
ジタン:ま、帰ってきてくれてよかったよ。
ビビ:ボクも。帰ってこれてよかった。
にっこりと微笑みあいます。
ビビ:ジタン・・ボクね、やっぱりジタンが・・、
ジタン:うっ、安心したら腹減ったぁ!そういえば何にも食べてねーんだ・・。
    やばっ、本当に死ぬかもっ。ミコトんとこいこーぜ!
ビビ:ちょっちょっちょっ、ジタンっ!?
ビビさんがせっかく何か言いかけたところで、ジタンさんはすっくと立ち上がりました。
(しかし何日も飲まず食わずだったためか、実際はふらふらです。)
ビビさんがちょっぴりショックを受けてます。ジタンさんはやっぱり変わってないようです。
ジタン:ほらっ、ビビも行くぞ!その体も洗ったほうがいいぜ!
ビビ:そりゃそうだけど・・ちょっとジタン〜〜〜!!
   せめてボクの愛の言霊を聞いてからにしてよ〜〜っ!!!
ジタン:そんなん後でいいだろうが。愛の言霊なんてふざけてる・・。飯飯っ!飯が先っ!
ビビ:ジタン酷い〜〜〜っ!!
背中を向けたまま、手だけビビさんに振っています。
ビビさんはべそをかきそうになりながら、それでもジタンさんに近づきたくて走りました。
転ぶと、ジタンさんが振り返って、戻ってきました。
ジタン:ったくもう・・。
呆れたような言葉でありながら、とても優しい響きでした。
ビビさんに手を差し出し、ビビさんがそれに手を乗せて起き上がります。
ジタン:・・これからは、ずっと一緒にいるんだからな。
ビビ:・・・・・・・・・うんっ!!
また前に向き直る前に、にっこり笑ってジタンさんが言いました。
ジタンさんの愛の告白(ビビさんにはそう聞こえたようです)の言葉に、ビビさんは一本取られます。
呆然としてから、嬉しそうにうなずきました。
ビビ:そうだよねっ!じゃあジタン、今度結婚しようね♪
   ボク、死ぬ前もずっと言いたかったんだよね〜〜っ。
ジタン:はあ!?じゃあ倒れる前にオレに言おうとしたことってそんなことだったのか!?
ビビ:そんなこと・・って酷いよジタン!告白しようって思ってたのに!
ジタン:キモイこと言うな!
ビビ:・・ひど・・。・・でもまたそういう冷たいところも好きだよぉ?
ジタン:バッカ言ってんなッ。
ビビさんの一言に、ジタンさんはため息をついて、頭を左右に振りました。
呆れてももう何も言えません。
ジタン:・・んなことしなくたって、家族にはなれるだろ?
ビビ:結婚は重大事項だよ〜〜。
ジタン:男同士でできるか!
ビビ:なめちゃいけないよっ、ジタン!そうできるところもあるんだから!
何を言っても食い下がってくる。ジタンさんは2度目のため息をつきました。
ジタン:ガイアにはそんなところないだろ。家族になら心でどうとでもなれるって。
ビビ:いやーっ、ジタン!ボクは形も欲しいんだよ〜〜!
   ・・・まぁ、家族になれるのは嬉しいけどさ。
ジタン:そうだろ?オレは結婚なんてしないからなっ。
ビビ:もお〜〜。
やっとビビさんがまともな答えを返してきて、とりあえずジタンさんは安心します。
ビビさんも何とか結婚はあきらめたようです。まだ不満そうにぶつくさ言っていますが。
ビビ:まぁいっか・・・じゃ、ジタン、これからは2人っきりのせいか・・、
ジタン:そうだな。3人の生活だな。
ビビ:・・・は?
ジタンさんの言葉に、さえぎられた言葉にかまうこともなく、ビビさんがぽかんとします。
ジタン:おいおい、ミコトの事忘れるなよ。ミコトと3人で家族だからなっ。
ビビ:えええっジタンっそんな〜〜〜!!
やっとジタンさんを1人占めできると思ったのに、思わぬ障害でしたね。
確かにミコトさんもジタンさんにとって大切な妹、家族に加えないはずがないですよね。
ビビさんは大きなショックを受けているようですが。水入らずで暮らしたかったんでしょうね。
ジタン:家族は多いほうが楽しいもんな・・。
    もうこの際他の黒魔道士たちとジェノムたち、皆家族にしようぜ!
    全員入れるようなおっきな家を建ててさ、皆で暮らすんだ!
    にぎやか過ぎてうるさいかもしれないけど、きっとすっごく楽しいぜ〜〜!
ビビ:ちょっ・・。
ハート全開で、楽しそうに、そして勝手にジタンさんが決めていきます。
ビビさんが止めてももう無駄でしょう。
ジタンさんには、「ビビさんと2人っきりで暮らす」などという考えはこれっぽっちもないようです。
ビビ:ジタっ・・。
ジタン:いいだろ?ビビ?
いつの間にか前を歩いていたジタンさんを、ビビさんが、
ビビさんにとってはその恐ろしい考えに抗議しようとしたときです。
ジタンさんが振り向いて、満面の笑顔で言いました。
のどまで出た言葉を、ビビさんは飲み込みました。結局勝てないんですね。
ジタン:よーし、そうなったらすぐ決行だー!ミッコトー!
ビビ:ああっちょっと待って、ジタンーー!
真夜中に大声で叫びながら(えらい近所迷惑。実際何人かはその声で目が覚めてしまったようです)
ジタンさんが走ります。(実際はかなりやつれていたのでふらふらです)
それを慌ててビビさんも追いました。







黒魔道士の村は、笑顔で包まれるようです。
何はともあれ、ビビさんが帰ってきてよかったですね、ジタンさん。











・・ってあれ?くうちゃん、これBadのはずではなかったんですか・・?
(・・ほっといてくれ。by空)







〜ビビED End.〜









* * * * * * * * * * * * * * * * ビビED ミニあとがき * * * * * * * * * * * * * * * *
「禁断でも可愛く思える!?」のビビED、いかがだったでしょうか。
うぃらぶなのにずいぶんとシリアスが前面に出てしまって申し訳ない。
ビビ止まっちゃうのにそれで他のメンバーが「やったー!」とか言ってても問題ありますしね。
ビビが止まっちゃうからアンケートでも「Bad」だったのに、結局最後はハッピーに近い感じになっちゃいました(汗)

・・意識も何もしてないのになんかBLっぽくなって申し訳ない・・・!
ビビはいつも通りなんですがジタンがその気になると一気になっちゃいますね(滝汗)
ジタビビ友情ものなんて言えないなぁ・・。

とは言え、アンケート等から見るとやっぱりジタビビすごいです。
Badでも男同士でもアンケートに食い入ったビビはすごい。
「ジタビビラブストーリー」を是非見たいという人もいるくらいです。
むむっ、もっとやらしくない描写にせねば。

・・何はともあれ、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
残る2つのEDを見たい方は↓からどうぞ。




ダガーED   エーコED



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