偶然という名の運命


〜最後への選択〜









「・・もし、シオンさんが再来年、あなたのやりたいことをやり遂げて、無事村まで帰って・・。
 その後、あなたがキャラバンから引退したら、アルフィタリアの、兵隊になっていただけませんか?」








シオンの頭は、その言葉をまだ理解することが出来ていなかった。
最悪な答えはいくつか頭の中で動いていたが、そんな答えは予想もしていなかったからだ。
意味が全然わからず、シオンはそのまま固まってしまう。
「ソールとの戦いの後、少し父ともお話したのですが・・。
 父はあなたをとても気に入ってしまいまして、是非あなたを兵としてもらいたいといって・・。
 ・・・私自身、こうなることを願ってはいまして。
 強制にはしませんし、答えも今とは言いません。が、そうして欲しいと思っております。
 ・・・いかがでしょうか。」
固まったシオンに対し、真剣な目で、フィオナはそう言った。
シオンは混乱していた。あまりのことに、さすがのモグでさえも驚愕の表情をしている。
もし、自分が本当にアルフィタリアの兵になったら、村にいる家族や仲間を置いていってしまうことになる。
下手をしたら、もう2度と会えなくなるかもしれない。
そんなのは嫌だ、とシオンは思った。しかし。
アルフィタリアの兵になれば、ティパの村にいるよりもずっと、フィオナの側にいることが出来る。
フィオナを守る為だけに、戦うことだってできるのだ。
何とも微妙な板ばさみに、シオンは考え込んだ。
「・・・兵にならなくても、シオンさんのご家族やご友人の身の安全はきっちりとお守りします。
 これは単なる“お願い”ですから・・。」
そう言われると余計に悩んでしまう。いっそ「兵にならないなら街には迎えない」と言われた方が楽かもしれない。
「シオン・・。」
側にいるモグが、心配そうにこちらを見た。
「・・・申し訳ありませんが・・答えは・・・待ってください・・・。」
「えぇ。ゆっくり考えてくださっていいですよ。」
うつむきながら、シオンはそういった。それに対し、フィオナは微笑みながらそう返した。
(どうしましょう・・・。)
シオンは、さっきの何倍も辛い選択を迫られているように思えた。
「賭け」に関しては、家族や友人達にも来年言うつもりだったが、これは・・・・・。
シオンの表情が、苦渋に満ちた。







そして水かけ祭りも終わり、フィオナに別れを告げ、シオンは旅を再開する。
・・といってもあと残り1/3だったので、集めるのにはそこまで苦労しなかった。




ぼうっと、シオンは自分の村の水かけ祭りを見る。
いつも通りの、楽しそうな住民達の声。
・・そういえば、いつから誇りをなくしたのか。
初めてミルラのしずくを持って帰った年は、いつもより何倍も水かけ祭りが楽しくて、
自分の手で村を守れたことに、ものすごい誇りを持ったのに。
完全になくなったわけではないが、それでも、昔ほどの感動や誇りは薄れてしまっているのだ。
だからこそ、村を、命を捨てるような行為を決断することが出来たのか。
ふっ、とシオンは嘲笑気味に、自分に向けて笑った。


―――この景色も、来年が最後だと思うほうがいいかもしれない・・。


シオンは思った。そうでもなきゃ、自分が薄情な人間にも思えてしまうのだ。
そう、瘴気を晴らしても、自分が死んでも、もう水かけ祭りは見られることはないのだから。
そうすると、クリスタルはどうなるのだろうか?
ふと、シオンは思う。
瘴気を払うためにクリスタルはあるのだ。瘴気がなくなれば、クリスタルも意味がなくなる。ミルラの樹も同様だ。
うーん、と数分考えてから、瘴気が晴れたらラ・イルスに聞こうという答えに行き着く。
・・・・・・クリスタルを見つめていると、何故かフィオナの顔が浮かぶ。
それだけ彼女が自分には神々しく、輝いて見えるのか?その疑問は早く解決したが。





「・・兄ってさ、絶対、あの姫さんのこと、好きだろ?」





その通りだ。
好きだからこそ、そう見えるのだ。
誰もがそうとはいえないが、少なくとも自分はそうだ。シオンは思う。
クリスタルに人が寄り添うように。自分もその輝きに寄り添いたいのかもしれない。
「・・・・姫。」
ぽそり、と呟いたその声は、陽気な音楽にすぐにかき消された。
村と、フィオナ。どちらを選ぼうか。
フィオナの役に立ちたいと、彼女の側にいたいと。
何度も願ったのに。
いざそのチャンスが来ると、迷ってしまう。
叶わないと思っていたから。
叶ったときに、引き換えに失わなければいけないものがあるから。
微妙な天秤だった。
いっそ、両方を選べたら。
いっそ、両方を捨ててしまえたら。
それこそ楽なのに。
決断しなければならないときというのはあるものだ。
「はぁ・・・ぶっ!?」
ため息をつくと同時に、いきなりべしっと誰かに後頭部を叩かれた。
頭をさすりながら後ろを見ると、ラ・イルスが立っていた。
「ベテランが簡単に後ろを取られんなよ。魔物に襲われるぞ。」
「イ・・イルス・・。」
シオンの隣に乱暴にラ・イルスが座り、ほい、とシオンにりんごジュースを差し出した。
シオンはお礼を言って受け取る。が、とても飲む気にはなれない。
ラ・イルスはくっと、自分ももう片方に持っていたものを飲む。多分酒だ。
シオンはとても酒に弱いので、ラ・イルスはジュースを持ってきたのだろう。
「ずいぶん暗い顔だな。また何かうじうじ悩んでるんだろ?俺でよかったら聞くよ。」
相変わらずラ・イルスは鋭い。自分のことをよくわかっている。
深いエメラルドの色に見つめられると、何もかも言ってしまいそうだった。
いや、何も言わなくても、ラ・イルスならわかってしまうのではないか・・。
不思議と、そんな気分になる。
「イルス・・。」
「ん?」
勝手に言葉をつむぎ出そうとした口を、シオンは抑えてしまった。
何を彼の前で隠すことがあるのだ。言ってしまえばいいのに。
「どうした?」
言えない。
今までの様に、簡単に言っていいものではない気がした。
理由は、自分でもよくわからないが。
「シオン?」
エメラルドが、不思議そうにのぞきこんでくる。
ダメだ、言ってはいけないと感じるのに、隠し切れない。意志薄弱。
「・・・イルスは、どちらかを選ばなきゃならないのに、どちらも捨てきれなくて迷うとき・・。
 どういう風に決めますか?」
やっと、シオンはそれだけ言った。ラ・イルスの目が丸くなる。その後、ほっとしていたように見えた。
「何だ、そんなことか」とでも言いたいのだろうか?
自分はこんなにも辛いのに。
・・言ってないのは自分のせいなのに、ただの推測なのに。何故か、ラ・イルスが憎らしく見えた。
「・・考え続けるな。どちらかを選べるまで。」
「いや、考え続けても出ないときなんですが・・。」
「もっともっと考える。」
「いや・・その・・。」
「それ以外に何があるんだ?」
もっと参考になるような答えをシオンは求めたが、ラ・イルスはそう答える。
「考えられないなら何だ?人に頼って決めてもらうつもりなのか?」
「・・・。」
シオンは言葉がつまる。
「お前さ、そういうのはどんなに悩んでも、自分で決めるしかないんだよ。
 どんなことで悩んでんのか知らないけどさ、その答えを俺に求めるな。
 そりゃ、塩酸の作り方とか爆薬の作り方とかレシピの書き方とかなら教えられるけど、
 お前が悩んでることに対する答えを、俺は持ってない。自分に聞けよ。」
「そんなつもりじゃ・・。」
「じゃあ何?」
反論1つ返せない。イルスはいつだって正しいな、とシオンは思った。
「ティパの村とフィオナ姫のどちらを選んだらいいと思う?」なんて仮に言っても、
ラ・イルスは耳を貸さないだろう。それが当然なのだから。
ラ・イルスの言う通り、いつも自分はイルスにばかり答えを求めるのだ・・とシオンは反省する。
「ごめんなさい・・甘えてしまって。」
「謝らなくたっていい。今お前が悩んでることは自分で決めればいいだけだから。」
「・・・。」
結局振り出しか。
答えを他人に求めたって出るわけがない。
それをラ・イルスの言葉によって認識した今、さらに途方に暮れそうになった。
ラ・イルスが立ち上がった。その少し後に、砂を踏みしめる音がした。
このままじゃ置いていかれるような気がする。けれど、彼を止める言葉を、自分は持っていない。
持っているコップを強く握ったせいで、ジュースがこぼれた。
「・・・1つ言っておくよ。」
砂を踏みしめる音がやんで、振り返らずにラ・イルスがそういう。シオンは顔をあげた。
「選ぶときは自分の気持ちだけで選べ。
 こっちを選ばないと相手に迷惑がかかる、とかいうことは考えるな。
 お前がそうしたい方を素直に選ぶんだな。その方が後悔はないぞ。
 ・・頑張って悩みな。」
そのまますたすたと、ラ・イルスはそろそろ疲れてきた踊りの輪に入る。
さっとティエルが近づいて、何か話していた。
「・・・そういう風に言うからいけないんですよ・・。」
ラ・イルスの背中を見ながら、シオンは呟いた。
言葉を聞いたとき、ぎくりとしたのだ。
ティパの村を捨てたら、家族に迷惑がかかる。それなのに城に行くのは・・と、シオンは実際に思っていたのだ。
しかしラ・イルスはそれに対して「そういうことを考えるな」と言った。
欲しかった言葉は、最初からそれだったのかもしれない。
本当に最初から欲しかったのかは別としても、心が軽くなったのはわかる。
「・・・イルス、感謝します。」
ぽそり、とそう呟いた。
また考え直すかもしれないが、ラ・イルスの言葉のおかげで、吹っ切れた。
自分の気持ちだけで考えれば、どちらに行きたいかは決まっている。
答えは、出た。
・・シオンの表情が変わったことに気がついたのは、ラ・イルスただ1人だった。
「・・世話のやける奴だよ。ったく、どいつもこいつも俺に甘えるんだから・・。」
やれやれ、とラ・イルスは呆れながらも、顔は微笑んでいた。












次の日。まだ太陽はやっと顔を出したばかりで、小鳥が遅いよとばかりに鳴く、早朝。


薄着一枚では少し寒いと感じる外で、シオンは岬にいた。
昼はさらさらと潮風が吹く岬も、早朝では風が冷たい。遠くには、船が見えた。
トリスタンが働いているのだろうか。こんな朝っぱらからお疲れ様です、とシオンは心の中で声をかける。
太陽はまだ海に寄り添っている。朝日に照らされて、海はきらきらと輝いていた。せっせと魚も動いている。
なかなか趣深い光景だが、この方向からは全くもってアルフィタリア城は見えない。
いや、別にアルフィタリアが見たくて、シオンはここに来たのではないのだが。
「・・もうすぐ見納め、ですか・・。」
ぼそりと呟くその姿は、何となく、故郷を惜しんでいるような気がして。
「シーオーンー。」
眠そうな声をかけられて後ろを見ると、こちらに向かってぱたぱたと、モグが飛んできていた。
いつもより低空飛行なのは、寝ぼけているからだろう。
「ずいぶん早いクポね〜・・。」
「えぇ。見ておけるうちに、ティパの村を少しでも記憶に焼き付けておこうかと思いましてね。」
あくびをしながらモグが言うと、にっこりと笑ってシオンが言った。
その言葉で、眠そうな目をしていたモグが、パッチリと目を開けた。
「シオン・・。」
「・・お気づきになりましたか?」
モグが確かめる様にシオンに言うと、シオンはまた海へと視線を戻しながら答えた。
モグは、ふっと笑う。決めたのだな、と。
「・・・・・モグ。」
「何クポ?」
シオンが振り返らずに声をかける。モグは当然のごとく返事をする。
「この前、フィオナ姫から言われたことがあったじゃないですか。」
「あぁ、あったクポね。まさか姫があんなこと言うなんて・・長いこと生きてきたモグでもビックリしたクポよ。」
言いたいことなどお互いとっくにわかっているのだが、それでもシオンは言い、モグは答える。
「そうですね・・、で、そのことなんですけど・・僕、アルフィタリアに行きますよ。」
シオンの言葉に、モグはシオンの横顔を見ながら、「・・そうクポか」と答えた。
「後悔しないクポね?」
「はい。とりあえず今は、ですけどね。」
モグが念のため聞きなおすと、シオンは一瞬ですら考えずに答えた。
「今は」といっているが、多分、もう揺るがないだろう。
「エライクポよ、シオン。たまには自分の気持ちに素直になるのも大切クポ。」
うんうん、とモグが深くうなずきながら、安堵したような表情を見せた。
(モグは水かけ祭りの間ずっとリ・ティオの側にいたので、ラ・イルスとのやり取りを知らなかった)
「・・ところでモグ?」
「何クポ?」
シオンが神妙な面持ちでモグのほうを見ると、今度は何だとモグが目と言葉で言った。
「『長いこと生きてきた』・・ってどういうことです?やっぱりモグって結構な年長・・、」
「!!そ、そこから先は黙秘クポーーーーッッ!!」
シオンが今まで聞かなかった疑問をこの際晴らそうとモグに言うが、
モグは身をこわばらせて、そう叫んだだけだった。
そのまま空中で縮こまってしまったモグを見て、シオンはくっくっと笑い出す。
「何笑ってるクポ!」
「いや・・特に意味は・・でも・・、」
笑いをこらえきれず、一瞬の静寂の後、あはははは、と大きな笑い声が響き渡った。
「もうっ!モグをいじめないでクポッ、クポッ!」
モグが恥と怒りで顔を赤らめながら、その場で憤慨した。
笑い声は、しばらく続いて。
「・・・・まぁ、もうそれはいいクポ・・。そのことは、いつ言うクポ?」
「賭けが終わってから言いますよ。賭けについては来年言うつもりですけどね。
 ・・・辛いですが、黙って行っては余計迷惑がかかりますからね。」
シオンの笑い声がだんだん小さくなると、ごほんごほんと咳払いをしながらモグが言う。
それに対しシオンはさらりと答えた。・・言葉の後半は、少し顔に影が見えたが。
「・・・村の人、寂しがるクポね。」
「そうかもしれませんね。でも、きっとわかってくれますよ。
 家族には少し申し訳ない気持ちもありますが・・。」
「いや、それは気にしないほうがいいクポよ。」
「・・・そうですね。」
岬の上に座っている岩の上にちょこんと座って、モグが言う。
沈みがちになったシオンの顔を見て、それを励ますように慌ててモグが言った。
「泣いても笑っても僕1人のキャラバン生活は来年と再来年だけ・・。
 貴重な体験、しっかりとしておかないといけませんね。」
シオンは声色を変えて、今度ははきはきと言った。ぐっ、ぐっと軽くその場で体操を始める。
モグもシオンの言葉に相槌を打っていた。
海にぴったりと寄り添っていた朝日は、まるで親離れしたかのように、1人で全てを照らしていた。



















その後、実質、シオンにとってキャラバン生活最後とも言える8年目は、やっぱり早く過ぎて。
とうとう、言わなければならなくなった。





「今年もよく帰ってきたね、シオン。」
たいした傷もなくシオンは村に帰り、久々に家族と食事をしていた。
帰ってきたのが遅い朝だったので、とりあえず昼食は普通どおりで、夜に水かけ祭りを始めよう、ということになっている。
母親であるクリスティが、シオンにあつあつのまんまるコーンのスープと、
妹のポーリーと一緒に焼いたという、やたら固いいなかパンをシオンに出した。
にこにこと笑っているのは、息子に対する誇りだろうか、それとも安堵か。
「おお。今回も1人できっちりとこなしてなぁ。俺の自慢の息子だ。」
「やっぱりお兄ちゃんがいないとねっ!」
「ね〜。」
父親のアリオンが、隣に座るシオンの頭を、乱暴にぐしゃぐしゃと撫でた。
いきなりだったので、シオンはまんまるコーンのスープに顔を突っ込むところだった。
乱暴すぎて痛みを感じたが、それでもシオンは微笑んでいた。
弟のサムエルが嬉しそうに発した言葉に、ポーリーも同意していた。
そしてしばらくは、スープをすすりながら家族で他愛もない話をしていた。
このまま普通の話をしていたい。
けれどそれをこらえ、シオンは切り出すことにした。
「・・・父さん、母さん。サムエル、ポーリー。ちょっと聞いていただけますか。」
いきなり真剣な顔になったシオンに、少々驚きながら、全員がこちらを見た。
「・・どうした?」
「今までは言いませんでしたが・・来年、僕はある『賭け』をします。」
「賭け?」
アリオンも真剣な顔になって、シオンに言う。
シオンはフィオナに言ったときと同様に、家族にもそれを伝えることにする。
「何でぇ、賭けって、金でも賭けんのか?
 とりあえずあの牛レースはやめたほうがいいぞぉ。父さんも散々あそこで金を失っ・・、」
「違います。僕が賭けるのはお金じゃなくて・・・僕の、命です。」
アリオンがふざけてそういったが、それをさえぎって、シオンはぽん、と右手で自分の心臓を叩きながら言った。
その瞬間、ピシッと、親の表情と、周りの雰囲気が凍ったように思えた。
サムエルとポーリーですら、驚愕の表情を見せている。
「あんた・・・・・命って・・どういうことだい?!」
「そのままですよ。キャラバンとして旅をしてきた中で・・僕は、あることを見つけてしまいました。
 瘴気を、この世界から消す術があることを。」
「瘴気を消すだって!?」
クリスティが息を荒げて、シオンに突っかかる。それに対しシオンは冷静にしていた。
いや、冷静を装っていたとでも言うべきか。かたかたと、手は震えている。
「瘴気を消すだなんて、馬鹿なことを・・・。
 お前は聞いてないのか、村長達の息子は、瘴気を消すっていって、そのまま行方ふめ――」
「その息子も誰か、どこにいるのか、だいたい僕にはわかっています。その息子さんは、実に惜しいところまでいったんです・・。
 瘴気を消した際には、その人を連れて帰りますよ。」
アリオンも動揺が隠し切れず、拳を震わせながら、シオンに言った。
予想はしていた。けれど、本当に辛い。
親が怒ることだって予想していた。でも、中断はしない、しないと決めた・・・。
「来年は、そこに行きます。僕の全てを賭けて、瘴気を晴らすための旅をします。」
「お前、そんなこと――、」
「許されなくても僕は行きます。何年も前に、行くと決めたんです。
 来年、クリスタルの期限が来る2ヶ月前までに、僕がこちらに帰ってこなかったら、
 アルフィタリアのフィオナ姫宛に手紙を送ってください。速達で。
 そしてその後に、全員アルフィタリアに引っ越してください。姫からの了承は得ています。」
アリオンはもう、怒る気力も出なくなってしまったらしい。
クリスティは、座り込んで、静かに泣き出した。
ポーリーとサムエルが母親を慰めようと駆け寄ったが、逆効果、2人とも泣き出してしまった。
心が締められる思いだった。いっそ、心臓を握りつぶしてくれたほうが楽かもしれない。
「水かけ祭りが終わったら・・村の全員にも話します。
 反対してくれてありがとうございます。僕の安全を気にしてくれてるんですよね。
 でも行きます。その決意だけは・・・変わりません。」
モグは、シオンの足元で、よく言ったとシオンに賞賛を、そして家族に同情を。
・・・・・その後の食卓には、冷たい金属音がするばかりで、熱はなかなか戻らなかった。
またこんな思いを後でするのか、と思うと、胃が痛くなり始めたが、言わなければいけない。
とっくに、覚悟はしていたから。





水かけ祭りの後、村長達にそれを告げると、やはり全員驚愕と悲しみを向けた。
今すぐ逃げ出したくなるような雰囲気の中、シオンは、心を締める痛みに耐えていた。
「・・・行ってこいよ。」
行くな、という雰囲気を全員が出す中で、ラ・イルスが頭を掻きながらそう告げた。
シオンも、周りの住民も驚いて、ラ・イルスを見た。
「シオンがここまで決意固めたんだ。行かせてやろうぜ。
 わかってるか?今まで人に何か言われたら、シオンは絶対にそれに従ってたんだぞ。
 けれど今は自分で決めて、俺達が悲しそうな顔しても、『やっぱやめます』なんて言わないだろ。
 もう、今更俺達の言葉や何かでひっくり返せるはずがない。
 だから、シオンが行きたいなら、俺はもう止めない。
 ついていきたいって気持ちもあるけど、お前が命を賭けるって言うんだ、俺じゃ役に立たないだろうしな。」
ふっと、ラ・イルスは笑っていた。シオンはそんな反応は予想していなかっただけに、逆に驚いてしまった。
「・・・・・それにしても、よくそんな辛い決意したな、シオン。
 自分が死ぬかもしれないのにそんなところに行こうって決めるなんてさ。
 俺達にこのことを言うのだって辛いんだろう?でも黙って行かずにちゃんと言った。
 ・・・お前は、やっぱり俺の自慢の親友だよ。」
「――――!」
ラ・イルスが優しく微笑みながら言うその言葉を聞いて、シオンは泣き出しそうになってしまった。
肩をぽんぽんと叩いてくれた親友の顔は、寂しそうなのに、それでも、ずっと微笑んでいて。
ああ、イルスが居てくれて、よかった・・。
「・・・ありがとう、イルス・・・!」
シオンは、それしか言えなかった。
理解されないだろう、無理矢理行くしかない、と思って来年はいつここを出ようかと、
計画までしていたのに、理解されたことが嬉しかった。はいはい、とラ・イルスが肩を叩き続ける。
「・・・じゃあ、私も止めない。」
涙がこぼれんばかりだったティエルも、ラ・イルスにあわせてか、そういった。
「・・・その代わり、絶対帰ってきてね!私、アルフィタリアなんて、嫌だし・・。」
「はい。帰ってきます・・・、絶対に。」
ティエルも前に歩み出て、シオンの両手を自分の両手で包み込んだ。
ティエルの言葉に、シオンは大きくうなずいた。
「それなら僕も。」
「私も止めない。」
「そうだな・・シオンが頑張ろうとしてるんだもんな。」
「頑張れよ!ぜってー帰ってこいよ!」
ラ・イルスとティエルのおかげか、沈んでいた住民達は、
寂しそうな、悲しそうな顔をしながらも、シオンにそう言ってくれた。
シオンは涙目になりながら、お礼を述べた。
「・・シオン。」
「・・はい。」
村長が目の前に来て、シオンに声をかけた。
「お主がこの村のキャラバンであること、私は本当に誇りに思う。
 ・・・・声援しか送れないが・・頑張ってくれ。
 そして・・その、息子に会ったら、『もう何も言わないから帰っておいで』と・・・・伝えてくれ。」
「・・・・はい!」
そう言った後、村長はふっと微笑んだ。シオンもほっとした。
これで1つ問題は片付いたのだ。さっきはあんなに悲しんでいた家族も、笑顔を見せてくれていた。
イルスに感謝しなきゃなりませんね。とシオンは思う。
・・・そんな中、ただ1人、リ・ティオだけが、曇った表情のままだった。












(・・後は、アルフィタリアのことだけですね・・。)
自分の決意を全員に伝え、それが終わった後、シオンは1人、外にいた。
皆がこのまま行くのではないかと心配したが、それはないですよ、と言っておいた。
夜空に浮かぶ星の輝きは、優しい。それは、決して力強い輝きではないけれど。
太陽よりも、星の輝きの方が愛しいときもあるぐらいだ。
アルフィタリアで同じ星は見えるかな、とシオンは考える。
「・・シオン。」
「はい!?」
そんな中いきなり声をかけられて、シオンは飛び上がった。
心臓をバクバク言わせながら振り返ると、
「リオ・・・。」
そこにいたのは、うつむいたリ・ティオだった。
「リオ?・・・・!」
名前を呼んだだけで、何も話そうとしないリ・ティオが心配になり、
シオンが立ち上がって彼女に近づくと、リ・ティオはいきなりシオンに抱きついた。
「リ・・、」
「シオン、本当に行っちゃうの・・?」
シオンが呼びかけようとすると、シオンの胸に顔をうずめて、リ・ティオがそう言った。
シオンはまた心が苦しくなったが、「はい」と答えた。
「わざわざ自分が死んじゃうかもしれないところに、1人で行くの・・?」
「・・・・・はい。」
苦しい。リ・ティオの手は震えていた。
けれど、簡単に抱きしめるわけにもいかず、シオンはどうしたらいいのか迷った。
「あたし・・・嫌だよ・・・!」
いきなりべりっと自分とシオンを引き離して、リ・ティオは言った。
その顔は赤くて、今にも泣き出しそうだった。
「何でシオンが・・1人でそんなことしなくちゃならないの?
 あたし、シオンが死んじゃうなんて・・嫌だよ・・・!」
「別に100%ではないですよ、生き残る可能性だって・・。」
「だったら何で“命を賭ける”なんて言うのよ!」
シオンは何も言えなくなった。リ・ティオの綺麗な瞳から、ぼろぼろと涙がこぼれる。
純粋な、綺麗な涙。なのに、シオンにとってそれは、棘のようだった。
「あたし、瘴気が晴れなくたっていいよ。このままだって充分幸せだもん。
 瘴気が晴れたって、シオンが死んだら嫌だよ!嬉しくなんかない!」
シオンはまだ何も言えない。リ・ティオの声は、だんだん悲痛さを増して。
「シオン、どこにも行かないで。あたしを置いて・・行かないでよ!
 そうじゃなきゃ、あたし・・・・・・!」
そこまで言うと、リ・ティオも涙に邪魔されて、何も言えなくなったようだった。
そんなリ・ティオの言葉や悲しむその姿は、シオンを貫く刃にしかならないのだが。
「・・リオ・・。」
シオンはそのまま近づいて、リ・ティオの小さな体を自分の腕で包むようにした。
こうする以外、何をしたらいいのかわからない。
自分の服が、だんだん濡れていくのがわかった。
「・・その気持ちは嬉しいですよ・・。心配してくれて。
 でもさっきも言いましたよね。ずっと前に・・やると決めました。
 そう言われても、僕はこの気持ちを曲げる気はありません・・。」
肩を震わせながらも、リ・ティオはちゃんと聞いているようだった。
ぎゅうっと、服がしまった気がする。
「ばか・・シオンの馬鹿あッ!!」
わああっ、とリ・ティオの泣き声が大きくなる。
「リオ・・ごめんなさい・・本当に・・。」
不思議と、リ・ティオを抱きしめる力が強くなる。
「馬鹿みたいだよ。シオンやあたし達がずっと、この村で幸せに笑う姿を想像していた自分が。
 本当に、バッカみたい・・。」
「リオ・・・・。」
リ・ティオの体は、本当に小さくて。
「子供っぽい夢とか・・思った?」
「いえ、そんなことはありませんよ。ありがたいですよ。逆に・・。」
しゃくりあげるリ・ティオの姿が痛々しい。
シオンの言葉を聞いて、ふっとリ・ティオが微笑んだ気がした。
その後また、村中に聞こえるのではないかと思うぐらい、泣き声が大きくなった。






「・・・シオン。」
「何ですか?」
しばらくして、やっと落ち着いてきたリ・ティオは、シオンの腕の中で声をかけた。
「絶対に・・行くん、だよね?」
「はい。荷物を整えてからになりますから、もうしばらく時間はかかりますけど。」
「あたしの気持ち1つじゃ・・決意は、変わらない?」
「変わりません。リオだけじゃなくて、たとえ他の誰に反対されようと、行きます。」
「そっか・・。」
確かめるようにリ・ティオは問いかけて、シオンは正直に答えた。
「そっか」というリ・ティオの声は、どこか諦めたような感じで。
数秒の沈黙の後、リ・ティオは「もういいよ」とシオンの腕を自分ではずした。
「ぜーったい、帰ってきてよね!」
さっきとは打って変わって違う表情で、リ・ティオはびしっとシオンを指差しながら言った。シオンは驚く。
「村の人達皆で待ってるから!あたしの反対まで押し切って、行くって言うんだもん。
 これでもし、シオンが死んだりしたら・・あたし、絶対に許さないよ!」
「・・・肝に銘じておきますよ。」
またじんわりと涙をにじませながら、リ・ティオは強がるようにシオンに言った。
それに対し、シオンは微笑みながら言葉を返す。
それで満足したのか、リ・ティオは笑って、振り返った後、全力で走り抜けていった。
「・・・ありがとうございます、リオ。」
リ・ティオが完全に見えなくなるまで見送った後、ぽつり、とシオンは言った。
「リオの涙を見るのなんてもうこりごりですから。そうならないようにしますよ。
 ・・・必ず。」
誓うように言って、シオンもまた、くるりと方向を変えて、自分の家へと歩いた。

























そしてついに、旅立ちの朝が来た。




馬車にはいつもより多く食料を入れて。
(といってもシオンが自分で入れたのではなく、村人がどんどん詰め込んだだけなのだが)武器や盾もきっちりと揃える。
いつもとは目的が違うからだろう、初めて1人で旅立つ時に味わったのと同じくらいの緊張を感じる。
「・・本当に、行くんだな。」
アリオンが、寂しそうに、それでも誇らしげにしながら、シオンに言った。シオンはうなずく。
「もうとやかく言わないよ。頑張ってきな。」
「・・・はい。」
クリスティは目元に赤みを残しながらも言う。
シオンはそれに答えて、村人全員が見守る中、馬車に乗り込もうとした。そのとき。
「待て待て待て馬鹿野郎っ!!」
「あだっ!?」
急にそんな声が後ろからして、同時に何かを後頭部にぶつけられた。
シオンが崩れかけたバランスを取り戻しながら後ろを向くと、ラ・イルスとリ・ティオがいた。
足元にころころと、ラ・イルスが愛用している羽ペンが転がる。さっきぶつけられたのはこれだろう。
「イルス・・リオ?何を――」
「おらっ、持ってけよ。」
シオンの疑問にも答えず、ラ・イルスはシオンに剣を差し出した。シオンはきょとんとする。
「これは・・。」
「『アルテマソード』。俺が今までにつくった中でも最高傑作に入るな。
 名前はあんまりよくないけど、かなり強いぞ。使え。」
綺麗に磨かれた刀身に、光が当たって、鈍い灰色が見える。
「お前、言うのが遅いんだよ。大変だったぜ、それつくるの・・。
 材料はお前の持ち物から少し使わせてもらったよ。」
「・・ありがとうございます、大切にしますっ。」
「馬鹿。大切にしてどーすんだよ。ぶっ壊したっていいから、それで自分の身を守りやがれ。」
シオンははにかむように笑う。まさか、こんなプレゼントが贈られるとは思わなかったからだ。
「シオン、これ・・。」
剣を見ていると、積極的なリ・ティオにしては珍しく、おずおずと何かを差し出した。
小さな手から受け取ったものは、同じく小さな指輪だった。シオンの指にぴったりとはまるのは、さすがというべきか。
「『フォースリング』。あたしが作ったの・・。イルからレシピもらって、一生懸命・・。
 シオンの身を守ってくれるようにって、頑張って作ったから・・。」
「・・はい。ありがたく使わせていただきますよ。・・・・・ありがとう、リオ。」
シオンがお礼を述べると、うつむきがちだったリ・ティオは、顔をあげて笑って見せた。





「それじゃ・・これで失礼します。必ず帰ってきますから!」





気を取り直して馬車に乗り、いつもよりもひときわ大きな、歓声にも似た声に背中を押されるようにして、シオンはパパオパマスを走らせた。
このまま直行してもいいが、まずは。











「シオンさん!」
フィオナがシオンに小走りで近づく。街でクノックフィエルナを見つけて、面会を頼むと、すんなりと通してくれた。
生憎王は留守のようで、フィオナは自分の部屋にシオンを呼んだ。
狭い部屋に2人でいるのは居心地が悪いが、今言わなくては。
泣いても笑っても、とりあえずはすっきりして、戦場に行こう。シオンはそう決めていた。
「申し訳ないですが、時間が限られてますので・・・・率直に述べます。」
そう考えていたシオンがそう切り出すと、フィオナが真剣な顔になった。
直接言わなくても、“お願い”のことであることがわかったらしい。
「・・はい。」とフィオナが答える。
「アルフィタリアの兵になって欲しいというお願い・・お引き受けいたします。
 瘴気を晴らしてすぐ、とは言いませんが、必ずこちらに来ますから。」
シオンが迷いなく言うと、フィオナは見る見るうちに表情を笑顔に変えた。
これでいいのだ。もう言ってしまった以上、後戻りは出来ないが、後悔も、後ろめたさも微塵も感じない。
「その言葉、本当に聞けるとは思いませんでした・・。」
「その代わり、なのですが。」
感動したのか、フィオナが言う言葉をさえぎるように、シオンが言う。フィオナは動きを止めた。
「・・何ですか?」
「ずうずうしいことは百どころか二百も承知ですが・・。
 僕が剣を振るうのは、この街のためというより、あなたのためだけに振りたいんです。
 あっ、もちろん街も守りますよ。けれど・・ずっとあなたの側にいて、そのために剣を振るうような人間に・・僕はなりたいんです。
 それでいいのなら、喜んでお引き受けいたしますよ。」
心臓がバクバクしながらも、シオンはできるだけそれを表さないように言った。
恥ずかしくて、フィオナの目を見ながら言うことは出来なかった。
今度はちょっと迷いがある。不安になってフィオナの顔を見ると、その顔はやはり驚いていた。
「すいません・・やっぱりずうずうしいですね。」
「いえ・・・いえ!そんなこと・・・!」
はは、と乾いた笑いをしながら、落ち込みがちにシオンが言うと、フィオナは首を振って言った。
「その・・・・・私も本当はそう考えていたんです。けれど、それを言うのは、やっぱり気が引けて・・。
 でも今そう言っていただけて・・・何というか・・。」
しどろもどろになるうち、フィオナは真っ赤になって、何も言わなくなってしまった。
そんなまさか。
絶対に届かないと思っていたのに。
「姫・・ド・ハッティのことは・・・・?」
「ド・ハッティですか?え、彼には確かに相談もしましたし、今も結構頼りにしていたりしますが・・・・・。
 別に、そんな気持ちは少しも・・・・・。」
これから戦いだというのに。
シオンは気が抜けてしまった。迷っていた自分がばかばかしくなった。
てっきりフィオナはド・ハッティが好きなのだとばかり思っていたが、ラ・イルスが言ったとおり、それはただの推量でしかなかったのだ。
脱力で座り込みそうになってしまいそうな体を何とか持ち直して、シオンは笑った。
フィオナが不思議そうにかしげる。
「そうですか・・わかりました。これからよろしくお願いしますね。・・・フィオナ。」
緊張しながらも、シオンは手を差し出した。
最後の言葉にフィオナは目を丸くした後、微笑んだ。
「えぇ。頼りにしてま・・・・いえ、頼りにしてるわ、シオン。」
握手を交わした後、2人は顔を赤らめながらも、幸せそうに微笑んだ。
こっそりとドアの隙間から2人を見ていたクノックフィエルナは、吠え出しそうなディアドラの口を慌てて塞いだ。
(シオンに「出て行ってください」と言われていたモグもそれに同席していた)」



「ずっと、ずっと待ってますから!」
フィオナから「持っていって」とフェニックスの尾を受け取り、フィオナとクノックフィエルナ、
そして話を聞いた兵士やソールなどに見送られながら、シオンは手を振って、アルフィタリアを出た。
周りの住民が、何だ何だと周りに集まっているのが見えた。
「・・よかったクポねぇ、シオン?姫と呼び捨て合いなんて〜♪」
「ほっ、ほっといてくださいよ!」
モグがにやにやと笑いながら、シオンをからかう。シオンはそれを流す余裕がなく、ムキになってしまった。
その場で笑い出したモグの声にむっとしながらも、シオンは前を向いた。



必ず。必ず生きて帰ろう。
待っていてくれる人の元へ。
大切な人達の元へ・・。




「フィオナ。僕は・・・・、あなたの元に必ず、必ず帰ってきます・・。」




シオンは微笑みながらそう思い、言った。
後ろからはまだ、フィオナ達の声が聞こえる。
フェニックスの尾をぎゅっと握って、瘴気にかすんだ空を見る。








「この賭け・・負けも引き分けもありません。僕が・・・・・勝ちます!」








ぱしっと手のひらで拳を受け止める。
その声は力強く、瘴気の中へと響き渡った。

















〜つづく〜






* * * * * * * * * * * * * * * * * * ミニあとがき * * * * * * * * * * * * * * * * *
はい、むぞフィオシリーズ第7弾でございます。これを読んで
「シオンの浮気者」とか思われた方がいらっしゃるかもしれませんが・・・・シオンがああした理由(別名言い訳)を言いますと、
シオンがリ・ティオを抱きしめたのは別に彼女が愛しいからとか、そういうわけではありません。
恋愛感情ではなく、むしろ友情とか、家族愛に近い感じです。
小さい頃から明るかった親友が、自分のせいで泣いてしまったとしたら、とお考えください。
彼にはああする以外方法が思いつかなかったのです。
わかっていただければ幸いなのですが・・・。
彼が愛しているのはあくまでもフィオナだけですので。

フィオナに関しては、一応今回で「結ばれ」ております。
結構あっさりと書いたので、わからないといわれればそれはそれで構わないです。
もっと固く2人が結ばれるのは今よりも後のことですので。
ただ、お互いの気持ちを伝え合って、それを不器用ながらも受け止めたのです。
・・・というか接吻とか抱き合わせるのが恥ずかしかったということもあるのですが(うわぁ)
ただこれだけではさすがに・・と自分でも思うので、次回にもう少ししっかり書きます。

では最後にラ・イルスに関して。彼は本当にいい奴です。
それだけが伝わればいいぐらい本当にいい奴です。
彼は多分、シオンが悩んでいたことについて、フィオナが関していることぐらいは確信しています。
悩むシオンにアドバイスをして、最後も最高傑作のレシピ作って渡してますからね。
(この作品での)ティパの村にかじ屋はないのに、何で剣が作れたの?
ということに関しては次回書きます。
「レシピが何であんなに早く作れるの?」ということに関しては一言。
ラ・イルスは天才だからです。以上。
・・まぁ設定としてはまたうすうす気がついていたということになりますが。


何だか補足が多くて自称モノカキとして恥ずかしいですな(汗)
次回フィナーレです。どうか最後までお付き合いください。
では飽きることなくむぞうさ×フィオナの同志が増えることを願いつつ・・・




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